ラストボーイ
Game Over
「勇志くんおはよっ!」
もう10月の終わり。
あたしはまだ勇志くんに返事をしていない。
勇志くんも急がなくていいって。
少しずつでもいいからって言われて、
あれから何度か一緒に帰ったりするようになった。
一方で愁ちゃんは、
黄瀬さんと別れて不特定多数の女の子と関係を持ってるとか‥‥
あくまで噂であたしはそんなの信じない。
愁ちゃんは女の子を弄ぶような人じゃないもん。
「もう文化祭かぁ~。うちのクラス何やるんだろうねー。芽生?どうしたの?」
まただ‥‥。
校外学習が終わってしばらくしてから、
度々あたしの上履きがなくなる。
それだけじゃなかった。
下駄箱には暴言を書いた紙が放課後までには、たんまり入ってる日もある。
「‥‥また?ったく一体誰よ!」
「大丈夫だよっ。スリッパでも困らないし!それにこれも!ただの紙切れだしっ!」
事あるごとに礼ちゃんはあたしに「強くなったね。」と言ってくれた。
愁ちゃんが離れてから、
確かにあたし自身変わったと思う事が増えてきた。
けど
何も思わない訳じゃない。
シネとか書かれた紙を見るたび胸騒ぎがして、
上履きが無くなってれば、
またママに口実を作って買い直さなきゃいけない。
一体誰が何の為にしてるのか‥‥
まだその時は考える余裕もなかった。