ラストボーイ
すごい憂鬱。
この扉を開ければ‥‥愁ちゃんがいる。
どんな顔して会えばいい?
‥‥えぇいっ!どうにでもなれっ!
ガラガラッガターン。
勢いよく開けすぎた扉が、
大きな音をたてて中にいた先生もびっくり。
「あっ‥‥ごめんなさいっ。」
あたしってば何してんのっ。
出だしから普通じゃないし最悪っ。
「1-A組時田さんね‥‥じゃあ後ろ座って。」
先生に言われた席は‥‥愁ちゃんの後ろ。
あたしは静かに席に着いた。
あたし達の学校は2年からクラスの出し物をするようになっていて、
1年生は校内の装飾と宣伝。
当日は前夜祭と後夜祭があって、
後夜祭にはグランドに花火が上がる。
「女子も男子も今年から浴衣着用を許可する」
浴衣‥‥。
思い出すのは夏のお祭り。
愁ちゃんと初めて見た花火‥‥。
今はこんなに近くにいるのに‥‥遠い。
微かに香る愁ちゃんの香水の匂いが、
あたしの鼻をツンとした。