ラストボーイ








「後ろに回して~」




先生が一番前の人にプリント用紙を渡す。

ただ受け取るだけなのに、
あたしの心臓は破裂寸前でその順番を静かに待った。







「ん。」




愁ちゃんは至って普通にプリント用紙を渡してくれた。

それだけで嬉しかった。






「あ、あああっありがとっ!」








噛んだーっ‥‥最悪。

こんな時に限って‥‥!!!









「噛みすぎ。」











たった一言。










だけど、愁ちゃんの肩は小刻みに震えてたまに漏れる息があたしの心を懐かしくさせた。









それだけで嬉しかった。







何も言ってくれなくてもいい。






愁ちゃんが笑ってくれたんだもん。








少しずつ戻れたらいいな。











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