ラストボーイ
「えっと‥‥美術室‥‥美術室。」
「でさぁ~どうなの?愁くんと♪」
B組の教室で聞こえてきたそんな会話。
あたしは無意識に足を止めた。
「え~?まぁ普通かなぁ~」
黄瀬さんが嬉しそうに友達に話していた。
嬉しそうに愁ちゃんの自慢話をしている黄瀬さんにあたしも嬉しくなった。
‥‥そのはずだった。
黄瀬さんは甲高い声で笑うと、
少し間を置いてさっきまでの発言を全て打ち砕いた。
「最高のお飾り♪周りは付き合ってるって思ってるけどね~。学園イチのモテる男を隣に置くとあたしの株も上がるし♪」
聞かなきゃ良かった。
‥‥お飾り。‥‥付き合ってない?
じゃあ黄瀬さんは、
愁ちゃんをまるでブランドの様に‥‥
ただ身に付けてただけって事‥‥‥‥?
頭の中は真っ白で、
あたしの中にふつふつと怒りが込み上げる。
「ネックレスや指輪と一緒よ~♪」
あたしの頭の中でプツンと何かが切れた。
「愁ちゃんの事、そんな風に言わないでよ!」