ラストボーイ
夏休み
「課題だけしっかりやってくるように!」
きたきたきたーっ!!
待ちに待った夏休みがぁあっぁ!!
「礼ちゃんっ!お祭り行こうねっ!」
「はしゃぎすぎ!あんた課題大丈夫なの?」
まぁ確かに。
この山になったプリントを一人でやるなんて何日・・・いや何ヶ月かかるのっ?!
「でもさ、祭りもそうだけど海も行きたいかも!バーベキューとか!」
「あと花火!!!愁ちゃんと勇志くんと皆で行きたいねっ!水着も買わなきゃ~♪」
暑いのは嫌だけど、
夏には花火大会、お祭り、海、沢山のイベントがある!!
去年の夏は喘息が酷くて一時期入退院を繰り返していた事もあって何も出来なかったから今年こそは遊びまくるっ!!
「芽生ー?帰ろうぜ」
「「キャーッ!!五十嵐君セクシーッ」」
そりゃそうなりますよ。
いくら暑いからって学校でそんな胸元出してたら・・・。
愁ちゃんはいつの間にか女子から絶大な人気を集めていて、
それはあたしの学年に限らずもはやこの学校のと言っても過言じゃないだろう。
本人は全く気にしてないみたいだけど。
「あっ!愁!」
愁ちゃんの名前を呼ぶ可愛らしい女の子。
確か愁ちゃんと同じクラスの子だ。
「へぇ~。愁くんってモテモテじゃん。あれB組の黄瀬 愛。可愛いらしいけど、あたしは好かないなぁ。なんか裏ありそうだし。」
そうかな?
背が小さくて目がパッチリで、
ゆるふわのボブにナチュラルメイクがよく似合ってる。
すごい可愛いし、あたしには全然そんな風に見えないなぁ。
「芽生のが100倍可愛いわ」
それはないよ礼ちゃん・・・。
あたしは化粧もした事が無ければ、
髪だって今時の子みたいにクルクルした事がない。
「愁、夏休み暇してる?」
「暇っちゃ暇だけどなんで?」
「ほんとっ?ならさ一緒にお祭りとか行かない?花火大会だってあるし!」
黄瀬さんは愁ちゃんの腕に自分の腕を絡めながら周りの子が見てるのもお構いなし。
「あー。んじゃ皆で行く?芽生ーちょっと来て。」
愁ちゃんに呼ばれて、
あたしは黄瀬さんに軽く会釈をした。
「俺と同じクラスの黄瀬。こっちは俺の幼馴染みの時田芽生。」
愁ちゃんが自己紹介をしてくれて、
黄瀬さんはあたしの顔をまじまじと見てニッコリ笑った。
「黄瀬愛です!芽生ちゃんよろしくね♪?」
「あっはいっ!芽生です!よろしくっ」
可愛いなぁ。
黄瀬さんは女の子って感じの子で、
あたしにはとても裏があるような子には見えなかった。
「黄瀬が夏休み一緒に祭行きたいんだって。皆で行かね?芽生も行きたいだろ?」
「うんっ!お祭り行きたいっ!あたしは全然いいよっ!」
「木内さんは?問題ない?」
「ええ、別に構わないけど。」
「じゃ、決まりな」
愁ちゃんと黄瀬さんはその後連絡先を交換して、日程はまた後日決める事になった。
「それじゃ、黄瀬さんまたねっ!」
「うん!芽生ちゃん、礼ちゃんまたね♪」
お祭り楽しみだなぁ♪
今年はママに浴衣を卸してもらおうっと♪
「ねぇ礼ちゃんは浴衣で行く?」
「まぁ一応は。あんま好きじゃないんだけどね。歩きずらいし。」
「あたしも今年は着て行こうかなって!でも髪とか自分で上手くいじれないから、ママにやってもらおうかな?」
「それならあたしがやってあげるよ。まかせて?メイクも少し変えてみようか!」
「うんっ♪うんっ♪」
たこ焼きにお好み焼き、
綿あめにりんご飴♪全部食べたいなぁ。
礼ちゃんの浴衣姿綺麗なんだろうなぁ。
礼ちゃんは大人っぽくて、
特に化粧をしてる訳でもないのに美人さん。
スタイルも良くてあたしとは正反対。
愁ちゃんと勇志くんも浴衣で行くのかな?
あの二人も似合いそう♪
愁ちゃんなんかそれこそまたキャーキャー言われちゃうんじゃないのかな?
夏休みの課題を少しずつ消化して、
あたしはお祭りの日を待った。
ママがあたしに新しい浴衣を買ってくれた。
白とピンクの可愛らしい浴衣だった。
髪留めも買ってくれたから、
これは礼ちゃんにお願いしよう。
宛先:礼ちゃん
本文
明日楽しみだねっ(*´ω`*)
髪とメイクお願いねっ!おやすみっ!
明日は待ちに待ったお祭りの日。