ラストボーイ
あぁ‥‥‥‥やっぱり好きだ。
ニカーっと笑った愁ちゃんは、
こうも簡単にあたしの心を鷲掴みする。
屋上の扉に手をかける愁ちゃんの後ろ姿は、
昔よりも遥かに大きくて今は愛しい。
だるそうにかかとを引きずって歩く姿も、
あくびをする間抜けな横顔も、
全部全部愛しい。
「芽生ー。置いてくぞ~。」
置いてった事なんかない癖に。
「ふふっ!」
扉からほんの少しだけ顔を出した愁ちゃんの手が、
あたしに手招きをしてた。
ほらね。