ラストボーイ
「ちょ、ちょっと芽生、そんな急いでどうしたの?!」
息切れ汗だく。
あたしこんな走れたっけ。
「お、おはよっ礼ちゃんっ」
木内礼(キウチ レイ)ちゃん。
あたしの親友で同じクラス。
すごく頼りになって姉御肌。
「あっあのねっ!しゅ、愁ちゃんか帰ってきた!」
「まじ?会ったの?」
「んーん。まだ!でも今日学校にくる!」
「あー!転入生って芽生の幼馴染みだったの?!朝からもう大騒ぎよ!この時期に転入生だから」
嘘じゃないんだぁ~♪
4年振りに愁ちゃんに会うんだぁ。
「でもさ、びっくりするかもよ?」
「へ?なにが?」
「あんたが可愛いから!だって数年ぶりでしょ?」
あたしが可愛い?ないないっ。
愁ちゃんだって冗談でもそんな事言わないよ。
「ないよ~っ。」
「ほんっと無自覚よねあんた。」
「ん?何か言ったぁ?」
ガラガラッ
「みんな席についてるか?今日は知らせがある。転入生を紹介する。」
きたきたきたっ♪
「・・・と言いたいところだがうちのクラスじゃないんだ!はっはははは!」
え?えっーぇえっぇえ?!
「隣のB組に転入してきた。五十嵐愁だ。アメリカから帰ってきたらしく、これから沢山の行事で交わる事になるだろう。仲良くするように!」
愁ちゃん同じクラスじゃないんだぁ。
なんかすごい寂しいっ!
「礼ちゃんっ!B組いこう?!」
「ちょ、あんた一人でいきなさいよ!」
「そんな事言わないでっ!紹介したいし!ねっ?」
あたしは無理くり礼ちゃんを引っ張ってB組にやってきた。
後ろの席ひとつに人だかりが出来ていて、
見事に愁ちゃんが見えない。
「あんた行ってきなさいよ!」
「だ、だってあの中入ってくのなんか嫌・・・だし怖いよ!!」
「だからって、あたしを盾にする事ないでしょ?!芽生が行くって言ったんだからね!」
「そうだけどぉ・・・むぅ~。」
「あ。め、芽生っ!」
びゃっ!!!
礼ちゃんに無理矢理離されて、
あたしは背中を押されて変な声が出た。
「れ、礼ちゃんいくらなんでもひどいよ~!それにぶつかちゃったし!あ、あのっごめんなっ・・・・・・・・・あ。」