ラストボーイ
愁ちゃんは黙って部屋を出て行った。
扉の閉まる音と共に、
溢れる涙は止まらない。
あたしが帰したのに、
心の中で愁ちゃんの名前を何度も呼んだ。
届く訳ないのに何度も。何度も。
「おばさん。お邪魔しました。」
「芽生‥‥学校で何かあったの?」
「大丈夫っすよ。おばさんは心配しないで。芽生の事お願いします。」
携帯が何度も光っては消える。
きっと送り主は勇志くん。
ごめんなさい。
あたしが全て壊したんだね。今日までの思い出を。