ラストボーイ
「愁ちゃん?どうしたの?」
あたしの右手は愁ちゃんに頭の上で抑えられて身動きが取れない。
愁ちゃん・・・?
「そんな目で見んな。」
「へ?」
そう言ってあたしの手は解放された。
そんな目ってどんな目・・・・?
頭をぐしゃぐしゃかいた愁ちゃんの耳は赤くて、
あたしと目を合わせようとしない。
さては、褒められて照れてるなぁ♪?
愁ちゃん可愛いっ!!
「愁ちゃん照れてるの~♪?」
「う、うるせぇよ!ほら戻んぞ。」
「うんっ♪」
あたしと愁ちゃんは川沿いの道を歩いた。
やっぱり歩くと足が痛い。
「芽生寄りたいとこある?」
花火で満足したのと、
またあの人混みで迷子になるのは嫌だし、
このまま皆の所に戻る事にした。
「来年も来ような。」
「うんっ!絶対行く♪約束ねっ!」
皆と合流するまで、
黄瀬さんに連れ回された話を聞いて笑った。
モテる男はつらいんだなぁ。
話を聞いてる限りだと、
愁ちゃんも黄瀬さんを好きでもないし嫌いでもなさそう、そんな感じだなぁ。
あたしが男だったら、
あんなに可愛い子絶対ほっとかないのに!
「愁!!どこ行ってたの?!」
真っ先に愁ちゃんに駆け寄る黄瀬さん。
はたから見ればカップルだよ。
「芽生と花火見てた」
愁ちゃんがらそう言うと、
黄瀬さんは一瞬あたしを見たけど、その視線はすぐ愁ちゃんに向けられた。
「え~あたしも行きたかったなぁ。芽生ちゃん羨ましい~っ」
「また機会があればね?」
メインイベントの花火が終わって、
帰る人が増えたのか来た時よりガランとしていた。
「あたしあっちだから、今日はありがと。芽生またね?」
「もう遅いし俺送ろうか?」
確かにもう真っ暗だし、
礼ちゃん一人で帰るのは危ないよ。
「あたしは大丈夫!親が迎えに来るから!勇志くんは芽生送ってあげて?」
「芽生なら俺が送るよ」
「え~っ。あたし1人怖いんだけどぉ。」
そうなるよね。
愁ちゃんは1回困った顔をしたけど、
渋々、黄瀬さんを送る事になった。
結局あたしは勇志くんに送ってもらう事にした。
愁ちゃんに黄瀬さんを送った後、
あたしんちに寄るって言われた。
ママも久々話したいだろうし、
ちょうど良かったかもしれない。
あたしも愁ちゃんのママとパパに近々会いに行こうかな?