ラストボーイ
ピンポーン。
「愁、ちょっと出てくれる?」
「ん、あぁ。」
母さんに頼まれてインターホンのモニターを見た。
映っていたのは芽生の母さんだった。
それにしても様子がおかしい。
俺は急いで門のロックを解除して、
おばさんに入るように言った。
疲れきってるのかおばさんは玄関に入ると、
その場に膝から崩れ落ちた。
「おばさん?何かあった?芽生は?」
俺の声で驚いたのか、
母さんがおばさんの姿を見るなりリビングに座らせた。
おばさんは両手で顔を覆い、
悲痛な声でゆっくり話し始めた。
「芽生を叩いてしまったの‥‥っ。」
「それで?芽生ちゃんはどうしたの?」
「出て行っちゃったわ‥‥っ。」
「何でそんな事したんだよっ」
声を荒らげた俺を母さんが止める。
何かまだ言いたそうなおばさんに、
母さんは優しくなだめた。
けどおばさんから出た言葉は、
俺も母さんも言葉を失った。