ラストボーイ





「今日びっくりしたよ。いきなり愁と芽生ちゃん走って消えるから」






「あたしもびっくりしたっ!愁ちゃんいきなり走り出すんだもん!でも花火綺麗だったぁ♪」






あたしですら何も聞かされてなくて、
いきなり連れてかれたから一番驚いたのはあたしだよっ!






「でもさ、幼なじみっていいね」





「どうして?」






「絶対切れない関係っていうか、お互いを大事にしてるっていうか、芽生ちゃん達見てるとそう思う。」







もちろん愁ちゃんは大事。



幼なじみだけど関係性でいえば、
家族の部類に入るのかも。





愁ちゃんがどう思ってるか分からないけど、
愁ちゃんがいない毎日を考えた事がない。






「家族・・・って感じかな。あたし愁ちゃんには本当救われたんだぁ。」






思い出したら胸が痛む。


まだあたしは過去に出来てないんだ。




上手く笑えてなかったかもしれない。







「あたしのパパ事故で死んだの。あたしの目の前で。」







話さなくても良かったのかも知れない。



でも勇志くんは黙ってあたしの話を聞いてくれた。




きっと今あたしは可哀想な人。




でもそうじゃない。

あたしのせいでパパが死んだのは確かで、
言い方を変えればあたしは人を死なせた。




いくらパパでも、
あたしがパパの子供でも、
あたしを庇ったパパが死んじゃったのは紛れもない事実だから。





ママもあたしに気を使った。今もそう。




パパの話はタブーになって、
部屋にあった家族の写真も、
あたしが自分を責めないようにママが隠したのあたし知ってるよ?





あたしがそうさせてしまったんだ。




ママはあたしの何倍も苦しいよね。


悲しいよね。


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