ラストボーイ






泣いて叫んでも、
パパは返事をしてくれなくて、
ぴくりとも動かなかった。





パパから流れた血。





空気の抜けたボール。




あたしの頭にはあの日の光景が今でも鮮明に再生される。






誰とも話したくなくて、
一日中部屋に閉じこもって泣いてた。



あたしだけが辛い訳じゃないのに。






ママはあたしが寝付いた後リビングで泣いてた。



3人で撮った写真の前でただひたすら。



幸せだった日々をあたしが壊してしまった。







そんな中、愁ちゃんが助けてくれたの。





あたしは悪くないよって。




あたしのせいじゃないよって。





僕がずっと一緒にいてあげるからって。





だから泣かないで。
僕はいなくなったりしない。



ずっと芽生ちゃんといるからって。





すごい救われたの。

あたしは大事な人を失くしてしまう人間なんだって思ってたから。





ママを苦しめて、
パパを失って次は誰を傷付けるんだろうって。






愁ちゃんがいなかったら、
あたしは今笑えてないかもしれない。





それくらい、
あたしにとって愁ちゃんは大切で、
感謝してもしきれない大事な人なんだ。





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