ラストボーイ
真っ直ぐ俺を見てた芽生の瞳が、
俺の言葉を聞いて視点が安定しない。
無理もない。
「2ヶ月‥‥?ママ死んじゃうの?」
「‥‥」
「愁ちゃんっ‥‥ママ死ぬの‥‥?」
こんな時どんな言葉をかけたらいいのか分からなかった。
俺がいるから大丈夫なんて言えねぇし、
ただ俺は黙って小さく頷いた。
テーブルに小さな音をたてて、
芽生の瞳からは何滴も何滴も涙が落ちた。
声にならない悲痛な泣き方に、
俺の無力さを思い知らされた。
「あたし‥‥ひとりになるの‥‥っ?」
泣きながら俺を見て芽生は言った。
親父さんを亡くして、
親友を失って、おばさんまで‥‥。
芽生の今までを知ってる俺は、
これ以上こいつが傷付く姿を見たくなくて、
言葉にも出来ない‥‥ただ芽生を抱き締めた。
「俺いるじゃん‥‥っ」