ラストボーイ
黙ってその光景を見てた愁ちゃんが、
あたしの横で膝を付いて言った。
「親父さん、芽生は俺が守ります。」
真っ直ぐな瞳でパパが眠る墓石に向かって‥‥。
愁ちゃんは泣いてるあたしを左手で支えながら、
微かに震えた声でパパに言った。
「俺は芽生を置いて逝ったりしない。逝かしもしない。芽生を一人になんか絶対しない。約束します。だから‥‥ゆっくり休んで下さい。」
あたしは人目も気にせず、
愁ちゃんの胸で泣き続けた。
愁ちゃんも泣いてるのか、
時折、鼻をすする音が聞こえた気がした。
あたしはまた愁ちゃんに救われたんだ。
あの日と全く同じ。
愁ちゃんはあたしに同じ約束をしたよね。
「俺はいなくならないから」