ラストボーイ
「‥‥芽生。」
扉を開けたらベッドに横たわるママは、
あたしの姿を見るなり笑顔で手を振った。
あたしの頭の中では、
様々な器具を付けられて会話も出来ないような、
そんな状態を想像してたから、
笑ってるママを見て拍子抜けしてしまった。
「あら、愁ちゃんもありがとう。ほら、こっち座って。」
ベットの横にある椅子に2人で座った。
近くで見ると笑ってはいるも、顔色はけっして良くない。
「芽生。ママの事は聞いてるわよね。」
「‥‥うん。愁ちゃんから‥‥聞いた。」
「ごめんね。なかなか言えなくて。」
そう言うとそこで初めてママは悲しい顔をした。
きっとあたしの為を思って話せなかったんだよね。
あたしを悲しませたくないから‥‥。
気付けなくてごめんなさい。ママ‥‥。