ラストボーイ










「それと愁ちゃん。ありがとうね。芽生の側にいてくれて。これからも芽生の側にいてあげてくれる?」








「当たり前ですよ」







「‥‥ふふっ。ありがとう。芽生‥‥ママがいなくても自分の足で生きていくのよ‥‥?苦しくなったり何かあった時は周りにいる人を頼りなさい。愁ちゃんだっていいのよ。助けてくれるから。」








次第に覇気がなくなったママを見て、
今にも逝ってしまいそうな弱々しいママの手をあたしは泣きながら強く握った。







「それと‥‥料理出来るようにならなきゃね。」






料理は約束出来ないよ‥‥ママ‥‥。







「それとね芽生、パパが亡くなったのはあなたのせいなんかじゃないわ。その事で苦しむのは今日でやめなさい‥‥じゃないとママ向こうでパパに怒られちゃうから。」









「ママッ‥‥。」






あたしを握る手が少しずつだけど弱くなって、
次、瞬きをしたらそのまま起きないんじゃないかとも思った。








「おばさん」







愁ちゃんが立ち上がって、

真っ直ぐ姿勢を正してママを呼んだ。





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