ラストボーイ
「愁、今日は芽生ちゃんについててあげなさい。」
「ん、そのつもり」
あたしは愁ちゃんと二人で家に帰った。
玄関を開けると、美味しそうな香りが漂った。
「ただいまー‥‥‥‥っていないんだ。」
「おかえり」
優しい笑顔で愁ちゃんが言う。
リビングに入ると作りかけの夕飯。
付けっぱなしのテレビ。
生活感の溢れた部屋を見て、
急に寂しくなって涙が溢れた。
そんなあたしを後ろから愁ちゃんが抱きしめる。
「1人じゃない。俺もいるしおばさんや親父さんだってずっと芽生の中で生きてるから。」
「‥‥うんっ。」
あたしが泣き止むまで、
愁ちゃんはあたしを抱きしめてくれた。
ピンポーン。