ラストボーイ
「なんも変わってねぇな!笑」
確かに・・・。
言われてみれば、
大きな模様替えはしてないし、
家具も小物もあの時のままだもんね。
「うっわ。懐かしー!」
「それあたしの一番のお気に入りっ!」
愁ちゃんが手に取ったのは、
初めて愁ちゃんと撮った写真。
あたしも愁ちゃんも写真が嫌いで、
二人共ふてくされた顔してるんだよねっ!
愁ちゃんは一通り見終わると、
今は使わなくなった勉強机に腰かけた。
愁ちゃんが座ったから、
あたしもベッドに腰かけた。
座ると帯がお腹を圧迫して苦しい。
「今日楽しかった?」
「うんっ♪すっごい楽しかった!」
「なら良かった。芽生に花火見せたくてさ、満足してくれたなら俺も満足」
「でもよくあんな特等席見つけたねっ!」
「あぁ、あれね、実は下見!笑」
「そうだったの?!わざわざ?!」
お祭り前に愁ちゃんは一人で下見に行ったらしい。
花火がよく見える場所を探しに。
昔はめんどくさがりだったのに♪
素直に嬉しかった。
あたしの為にそこまでしてくれた愁ちゃんが。