ラストボーイ
ヒーロー
「無理ーっ!!!!」
朝から発狂するあたし。
それもそのはず。
あたしは今人生初めての料理をしている。
夏休み真っ只中で、
今日は勇志くん率いるバスケ部の試合がある。
どうしてあたしがお弁当を作っているかというと、
スタメンだった人が怪我で出れなくなったらしく、
その代わりに愁ちゃんが名乗り出たから。
だからあたしは礼ちゃんと応援しに行く事にした。
(バスケ部入ってないのに。)
お弁当なんか作った事もなければ、
まともに包丁もフライパンも握った事もないあたしには無謀すぎる厚焼き卵。
「大事なのは味と気持ちよ。形は・・・崩れてるけどきっと愁ちゃん喜ぶわよ」
そ、そうだっ!
外見より中身って言うしっ・・・・!!
「出来たっ!ママありがとう!」
「しっかり応援してくるのよ」
あたしは作ったお弁当を持って学校に向かった。
ピピーッ!!
学校に着くと既にウォーミングアップを始めているのか、
体育館からはボールの音とホイッスルの音が聞こえた。
良かったぁ間に合ったぁ~。
愁ちゃんは勇志くんと朝早く出たから、
きっと中で練習始めてるのかな?
でも大丈夫かなぁ。
チームとして入ってた訳じゃないのに、
いきなり代わりで出るって・・・。
それに日本に帰ってきてからまともにバスケしてなかったし。
不安と心配を胸にあたしは礼ちゃんが来るのを待った。