ラストボーイ






「愁を見に来たの?」





「うんっ!愁ちゃんと勇志くんを応援しに♪」






「そう。勝つといいね?」






黄瀬さんの表情が気になったけど、
まぁいいやっ・・・・それより愁ちゃんはどこ?!





「芽生ちゃん!」




あたし達に気付いた勇志くんが手を振ってくれた。



勇志くんはもうウォーミングアップの最中で、
チームの皆とパスを回したりドリブルしている。






「あ。あれ。愁くん何してんだろ?」






え?





礼ちゃんが指差したのは、
パイプ椅子に座り何やらイヤホンして目を瞑る愁ちゃんがいたからだった。






ちょ、ちょっと・・寝てるのっ?!



試合始まるってのに、
寝るなんて愁ちゃんやる気あるわけっ?!






「大丈夫かな。愁ちゃん。」




思わず口から出た言葉。





だって愁ちゃんは、
周りの声も音にも微動だにせず、
ただひたすら目を閉じて俯いていたから。




かみさまぁっ・・・・・。






どうか愁ちゃんに力をっ!!
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