ラストボーイ








「えっそうなの?あたし今聞いたけど。」





それもそうだよ。
だって用事なんかないし、
ママは今頃パートに出てるから家には誰もいない。





「用事あるなら仕方ないか。でも一緒に帰ればよくね?」





「あ、でも急いでるんだよねっ・・・。」



「そっか。じゃあ仕方ないか。芽生今日ありがとな♪」





「俺もありがと。あと木内もね。また試合あったら応援よろしく」





「もちろんだよっ!!2人ともお疲れ様♪礼ちゃん今日は付き合ってくれてありがとっ!一緒帰れなくてごめんねっ・・・?」




「ううん、まだ休みあるんだしさ、また皆で遊ぼ!」





特に用事なんかないのに、
あたしは皆にお別れをして今朝来た道を歩いた。




はぁ。自業自得か。
あたしが協力するって言ったんだから。


でもやっぱり1人は寂しいな。
それにまたしょうもない嘘付いちゃったし。
あたしなにしてんだろ・・・。





ひとりぼっちの帰り道は、
いつもよりやけに長い気がした。



「ただいまぁ。」



返事なんか返ってこないのに。
ママは朝から夕方までクリーニング屋でパートをしてる。



学校が終わって家に帰る頃にはいつもママが先に帰ってきてるから、
今日みたいな日は本当に珍しい。




「・・・はぁ。」



持っていた荷物とお弁当箱を机に置き、
あたしはベッドに寝転んだ。



黄瀬さんが愁ちゃんを好きなのは分かる。
協力してあげたいって気もある。
ただ愁ちゃんが望まないならしたくはない。



あたしも皆と帰りたいし、
黄瀬さんに遠慮して皆との距離が遠くなりそうで何か寂しい。



もっと違った協力の仕方ってないかな。



真っ白な天井とにらめっこしながら、
あたしは色んな事を考えた。
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