ラストボーイ
「楽しかったぁ♪」
「そ?なら良かった。ちょっと俺んち寄ってく?母さんも会いたがってたし。」
「いいのっ?あたしも会いたいっ!ちょっとお邪魔しようかな?」
愁ちゃんのママとパパには、
小さい頃からお世話になってて、
家族ぐるみの付き合いもあって、
よくママと喧嘩しては愁ちゃんの家に避難させてもらったなぁ。
愁ちゃんのパパは海外を拠点にした、
IT系の仕事で社長さん。
愁ちゃんのママはお医者さん。
家は日本と海外にあって、
要するに愁ちゃんはおぼっちゃま。
跡取りになるんだろうなって思ってたけど、
愁ちゃんに継ぐ気はないらしい。
確かに愁ちゃんが社長さんとか信じられないかも。
「芽生入っていいよ」
「お邪魔しまーすっ」
懐かしい愁ちゃんの家の匂い。
あの頃となんにも変わってないなぁ。
それにしてもいつ見ても広い・・・。
玄関なんてあたしの家の二倍はあるし、
長い廊下に広いリビング。
屋根裏部屋があって昔かくれんぼで入った。
「芽生ちゃんっ?!?!」
リビングに入ると、
キッチンにいた愁ちゃんママが目を丸くして大声を上げた。
「愁ちゃんママ久しぶりですっ」
あたしの髪やら顔やら体やら、
ぺたぺた触る愁ちゃんママは相変わらず美人さん。
鼻が愁ちゃんにそっくり♪
「大きくなったわね~っ。こーんなに美人になっちゃって」
「そんなことないです」
愁ちゃんのママが冷たいポタージュスープを出してくれた。
あたしは愁ちゃんが座ったソファの隣に腰かけた。