ラストボーイ
勇志と木内と黄瀬と、
街をブラブラしながら帰った。
正直何を話したか覚えてない位上の空。
芽生不足。
治る事のない病だ。
あー芽生に会いてぇ。
俺は皆と別れた後、
芽生の家に行く事にした。
たった数時間一緒じゃなかっただけなのに。
インターホンを押すと、
芽生の母さんが出てきてくれた。
「あら、愁ちゃんいらっしゃい♪芽生呼んでくるからちょっと待っててね」
「うっす!」
ちょっとして二階の窓から芽生が顔を出した。
「愁ちゃんどうしたの?」
「降りてきて」
芽生は首を傾げてたけど、
少ししてから玄関から出てきた。
俺が袋から取り出した物を見せると、
芽生は小さな子供みたいに喜んだ。
たまたま家の物置きから母さんが出してきて、
芽生にやらせたくて貰ってきた花火。
高1にもなって、
花火ごときでこんな喜ぶ奴も珍しい。
さっきから芽生は、
花火を見ながらニヤニヤしっぱなし。
でもその仕草全てが可愛い。
家の近くの公園でやる事にした。
早くしてと言わんばかりの視線。
俺は入ってたろうそくに火を付けて、
芽生がやりたい花火を選ばせた。
正直、花火なんか見てなかった。
ただ笑ってる芽生が可愛くて、
子供みたいにはしゃぐ芽生が愛しい。
時間が過ぎるのはあっという間だった。