ラストボーイ







芽生にはタブーの話。
芽生の母さんも俺も皆が避けてきた話を俺は母さんに話した。






「あいつの親父さんが死んだ時・・・俺、見てらんなくて酷かったろ?あの頃の芽生。」




母さんは悲しそうな顔をした。
あの事故は俺ら家族にも残酷すぎた。






「あの日から決めたんだ。俺は芽生の親父とは違う。絶対芽生をひとりにしない、俺だけはずっと側にいてやろうって・・・・でも、あいつの中にはずっとその記憶があって俺なんかに消せないんだって思うと他に・・・あいつに何してやれんだろうって。」







俺は知ってた。


芽生の部屋に入った時、
家族で撮った写真が伏せられていた事を。




芽生の家には昔たくさんの写真があった。



でも俺が行った時、
リビングにも芽生の部屋にも、
親父さんが映る写真はなにひとつ無かった。





芽生の中で辛い過去にしかなってなくて、
そんな芽生の為にきっと芽生の母さんが全て撤去したんだろう。





親父さんがいた事を、
いい思い出として残せたら、
あいつの背負ってる物が少しは軽くなるんじゃねぇかなって。





だけど簡単な事じゃないって事も分かった。






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