ラストボーイ
部屋に入ると、
芽生の寝息と時計の音だけが聞こえた。
まだ起きないか・・・・・。
「・・・・・うっうぅ」
唸されてるのか?
芽生は眉間に皺を寄せて苦しそうな顔をしていた。
俺は芽生の頭を優しく撫でた。
嫌な夢でも見てるのか?
「・・・・・愁・・・・・ちゃ・・・ん?」
ぐったりした芽生が、
うっすら目を開けて俺の名前を小さな声で呼んだ。
良かった・・・・・。
「芽生?」
芽生は重たそうな瞼をゆっくり開けて、
俺の方に体を向け笑顔を見せた。
「ごめんな芽生」
「んーん・・・愁ちゃんのせいじゃないよ。ここ・・・愁ちゃんの家?」
「あぁ。倒れて母さんが来てくれた。」
「愁ちゃんママにも伝えておいて。・・・愁ちゃんありがと。」
それだけ言うと、
芽生はまた眠ってしまった。
俺の手を握りながら。
今すぐじゃなくてもいい。
少しずつでいい。
俺の事好きになって。1人の男として。
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「芽生ちゃん大丈夫かな。」
「・・・勇志くんってさ芽生の事好きなの?」
「木内はさすがだね」
「見てたら分かるよ。芽生なら大丈夫だよ。愁くんがついてるんだしっ!」
「・・・・・そ。愁がいるんだもんね。」