ラストボーイ






部屋に入ると、
芽生の寝息と時計の音だけが聞こえた。




まだ起きないか・・・・・。




「・・・・・うっうぅ」




唸されてるのか?

芽生は眉間に皺を寄せて苦しそうな顔をしていた。






俺は芽生の頭を優しく撫でた。

嫌な夢でも見てるのか?







「・・・・・愁・・・・・ちゃ・・・ん?」




ぐったりした芽生が、
うっすら目を開けて俺の名前を小さな声で呼んだ。




良かった・・・・・。




「芽生?」



芽生は重たそうな瞼をゆっくり開けて、
俺の方に体を向け笑顔を見せた。




「ごめんな芽生」




「んーん・・・愁ちゃんのせいじゃないよ。ここ・・・愁ちゃんの家?」





「あぁ。倒れて母さんが来てくれた。」





「愁ちゃんママにも伝えておいて。・・・愁ちゃんありがと。」





それだけ言うと、
芽生はまた眠ってしまった。




俺の手を握りながら。





今すぐじゃなくてもいい。


少しずつでいい。





俺の事好きになって。1人の男として。









✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚ ✽.。.:*・゚






「芽生ちゃん大丈夫かな。」






「・・・勇志くんってさ芽生の事好きなの?」







「木内はさすがだね」





「見てたら分かるよ。芽生なら大丈夫だよ。愁くんがついてるんだしっ!」











「・・・・・そ。愁がいるんだもんね。」



















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