お面妖狐




風にまじり、狐火がボワッとまい、私の姿が狐火の光によって現れる。





『落としたんじゃない。
置いてきたんだよ。
あの刀はお前らにあげるつもりは
ないからね。
こいつらが大切に守ってくれそうだった
から』





後ろをチラリとみると、総司がこっちを見て泣きそうな顔をしている。

土方も、目を見開いて固まっている。





「白夜…さん…?」


『…ごめんね。総司』





お面をつけて表情が見えない私に、総司は一筋涙をこぼした。



そして、背中から一本の刀をとりだし、私に投げた。





『…これは…』


「白夜さんの刀です!!!
今まで、離さず持ち歩いてました!!」





も、もう少し大切にしてよ?!!


でも。





『ありがとう。総司。
これでこいつらを殺せる』

< 107 / 207 >

この作品をシェア

pagetop