お面妖狐
ビンの薬
シュッ タタタタタッ
見つかるところだった。危ない危ない。
やっぱり、探してるか…。私を。
斬っちゃったからね。
知らないやつに仲間が斬られると、
見つけて殺したくなるよね。
私みたいに。
でも、私は何回刺しても、斬っても、心臓えぐられても、全部が一瞬で元通りになって、死なない。
化け物だから。
この体が嫌い。今まで何回もこの治癒能力のお陰で助かった時もあったけど、そのたんびにやっぱり、化け物なんだって思って悲しくなる。
私が人間だったら、何してたんだろうな…。
『はぁぁ。私、何年生きてきたんだろ。
もう、ざっと100年??
なら、116歳か…』
妖怪は人間と寿命が違うから、人間と一緒にいると人間が早く死んでいく。
長生きしてもいいことなんてない。
残酷な事しかない。
シュッ
木の上から飛び降りて森をグルリと見渡す。
あぁ、兄様だけは、生きててほしいな…。
私の、大切な兄様。
いつも優しくて、かっこよくて…。