お面妖狐
斬った人
「おい」
『…』
「逃げんな!!!今日はお礼をいいにきたんだ!!!」
血をあげた日から、一週間。
あのチビがお礼をいいにきた。
「あのー…その…。く、薬、サンキュー。
総司、きれいさっぱり傷がきえた」
『…そ。で、具合は?』
「元気ハツラツだ!」
それならいい。もう私には関係ない。
「そ、それでな!!!総司が直接お礼を言いたいって!!」
『…ほっといて。人間は嫌い』
「じゃあ、なんで薬くれたんだ!」
『私が斬ったから。
それに、治りが遅くなるからね』
町出てみたいな…。でも、この格好じゃ無理たよね…。
陰陽師みたいな格好してるし。帽子はないけど。
お面をとるわけにはいかない。
私の目は、何もかも見通す。どこに敵がいるのかが建物側でも簡単に見える。
人の心を読みたい。そう思えばなにを思っているのかすぐにわかる。
このお面は、その力を使えないようにするためにある。
兄様もそれができるからお面をつけ防いでいる。