お面妖狐
『中から怖い目で私を睨んでいる人がお一人いますけど』
「…あぁ、佐之か」
あの人って、確か槍を持っていた人だ。
「土方さん。どういう事だ?」
「あぁ、佐之。こいつここで預かることになったからな」
「はぁぁ?!!
総司を斬ったやつを?!!
ここで?!!」
広まってるんだね。
そりゃあそうか。仲間ってやつだから。
「佐之さん。この子は僕を斬りましたけど、
そのあと、薬をくれましたよ。
飲んだら一瞬で元気ハツラツ傷もきれいさっぱり消えました」
「でもよぉ」
『別に、嫌っててもいいですよ』
「…お前ら。まず中に入れよ」
ここに入るのは2回目だったよね。
突っ立っていた私の手を総司が引いて屯所の中に入った。