お面妖狐



「もし、そこで恩を作るのが作戦だとしたら」


「考えすぎだ斎藤。白夜は昔からそんなことはしねぇよ。俺が保証する」





そんなこと言わなくていいのに。

悪い方に言えばいいのに。

私を悪者扱いにすればいいのに。

人間って、わからないな。





「トシ。白夜君はいつまここで預かるのかね?」


「わからねぇ。
でも、白夜の兄貴が迎えに来るって言ってたからそれまでだろ。あの感じだと、遅くなるかもだし早くなるかもだけどな」





兄様は何しに言ったんだろう。

一人で…。

寂しい、悲しい。





「なんで面なんかつけて顔隠してるんだ??」


『…それは言えません』


「ほぉ。顔を知られたらヤバいのか?
間者だとバレたくないからか?」





うわっ。冷静人間いちいちイラつくこと言わないでよ。





「だから、斎藤。こいつは間者でもねぇって」


「信用できません」


『信用しなくていいですよ。
信用されると私が迷惑です』

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