お面妖狐
土方さんにばれるといけないですから。
なんて言って、私が出てきたところからまた中に入った。
「腕出してください」
素直に出すと、器用に手当てしてくれる。
「なんで外に出たんですか?
逃げようとしたんですか?」
『逃げようとは思ってない。
ただ、外に出たかっただけ』
「じゃあ、なんで怪我を?
それにこんな深い怪我」
『長州ですよ、
新撰組に忍び込もうとした長州が二人いたんです。
なので、斬りました。
その時に怪我したのかと』
手当てが終わっても、
総司は私の腕を離さない。
「やっぱり、白夜さんは男性じゃなくて女性ですよね」
『…』
「女性には怪我してほしくないんですよ。
傷痕残ったらどうするんですか」
傷痕なんて、残らない。
すべて消えるから。
『平気ですよ。
手当てありがとうございました。
もう、寝ます』
「…わかりました。おやすみなさい」