Is you is or is you ain't my baby?
(あたしは、大切にされたことなんてないのにな)

どこか楽しそうにプレゼントを選んでいる藤本に、櫻子は心の中で呟いた。

幼い頃から優秀な兄と弟に挟まれていたと言うこともあり、両親から大切にされていた思い出がなかった。

彼らに比べられて、劣等感を抱いたと言う思い出しかない。

家族から愛されなくて、友達だと信じていた同級生には裏切られた。

誰からも大切にされていた思い出なんて、自分にはない。

「アッキーも何か買うか?」

そう聞いてきた藤本の手には2つの茶碗とひよこのイラストがプリントされているエプロンがあった。

この様子だと、プレゼントは決まったみたいだ。

「あたしはいいです」

櫻子は首を横に振って断った。
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