Is you is or is you ain't my baby?
貝のように口を閉ざした松永から目をそらすと、唐澤と目があった。

――檍さん、もう少しですよ

目で話しかけてきた唐澤に、櫻子は目で返事をした。

――もう少しであたしたちの復讐が果たされますね

櫻子と唐澤は首を縦に振ってうなずいた。

松永が自分たちの会社を売れば、櫻子は父親へ、唐澤は家族を殺されたことへの復讐が果たされる。

その時だった。

「アッキー、やめるんだ!」

社長室のドアが開いたかと思ったら、そこから見知った顔の彼らがなだれこむように入ってきた。

「なっ…!」

邪魔が入ったと言わんばかりに、櫻子はソファーから腰をあげた。

「檍さん、お知り合いの方ですか?」

唐澤は訳がわからないと言う顔をしていた。
< 264 / 315 >

この作品をシェア

pagetop