奇聞録



縁日に買って貰ったリンゴ飴を持ったまま、妹はダンプにはねられて死んでしまった。


可愛い妹を思うと、私の心は穏やかではない。


暫くして、妹が死んだ場所で度々幽霊話が聞こえてきた。



あの可愛い妹が、その様なおぞましい姿に成ってしまったなどと、私には考えられない。



何かの見間違えであってほしい。



ただ、ただ解るのは、私の手に触れている小さな手は、妹の感触だ。



目の前には赤信号。



私の顔も忘れてしまったのだね・・・。


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