イジワル同期とルームシェア!?
「離してよ!」


泣き声で怒鳴る私の背を元希が撫でた。


「落ち着いたら離す。おまえ、今、ヤマアラシみたいに毛ぇ逆立ててんぞ。落ち着け!ほら」


ムカつく。
あんたのせいで、こんなに怒ってるんですけど。あんたのせいで、こんなに傷ついてるんですけど。

私の苛立ちをよそに、やたらと背を撫でてくる元希。

髪に吐息がかかる。
元希の唇が私の髪に触れている。


「本当に悪かった。俺はてっきり、大士朗には愛想を尽かしたもんだと思ってた」


だとしても、さっきの言い草はないじゃない。
傷口をぐりぐりえぐられたっつうの。


「まだ、そんなに引き摺ってんのか。……そりゃ、そうか。まだ1週間経ってないもんな。当たり前か」


「そうだよ。私、失恋したてで下手に触ると爆発する危険物だよ。いいことないから、とっとと離してよ」


いい加減、この抱擁の近さにムズムズしてきた。
怒りより、困惑と照れ臭さが上回っている。

元希が身体を離した。
と言っても、完全にではなく、身体と身体の間に隙間をあけた程度。

まだ、元希の両手はがっちりと私の両肩をつかんでいる。

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