イジワル同期とルームシェア!?
元希の唇が私の首筋に押し付けられる。そして、ちゅっちゅっと音をたてて、唇があちこち移動する。
冷房で冷やされたとはいえ、絶対に汗の味がするはずだ。ああ、やめて。気まずいし、恥ずかしくて死にそう。


「アヤ」


元希がわずかに顔を離し、私を見上げた。
私は荒くなりそうな息を飲み込んで、元希を見下ろした。


「その顔、サイコー。このまま大士朗が来なかったらまずいな。俺、止まんないかも」


私は涙が滲みそうな目で、ぎっと元希を睨んだ。


「バカっ!こんな時までからかうな!」


「はは、悪い悪い。ほら、もうちょっと付き合え」


元希の手が私の背を柔らかく這う。優しいキスが鎖骨に押し付けられる。

お芝居とはいえ、こんなのまずいでしょ。
おかしいでしょ。


あれ?もしかして、私、また流されてない?
『ま、いっか』『こんなもんか』っていう、いつもの他人への寛容さを利用されてない?
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