イジワル同期とルームシェア!?
「毬絵さんはどうするのよ」


愛撫に負けないように凛と声を張り、私は言った。


「毬絵さんという恋人がありながら、気まぐれで私を抱こうとするなんておかしい!大士朗のこと、責めらんないくらい外道だよ!」


私の首筋に舌を這わせていた元希がむくっと顔を起こした。

元希は妙な顔をしていた。
まだ押し倒された状態ではあるけれど、さっきまでの熱病に侵されたような空気は掻き消えていた。


「あのさ、毬絵さんの件はこの前、誤解を解いたよな?付き合ってないって」


「私にも本当のことは言えない秘密の関係なんでしょう?でも、私見ちゃったんだからね?昨日の晩、歌舞伎座の前で……!」


元希がぎくりと動きを止めた。
しかし、すぐに平静な表情に戻って言う。


「見たのか、俺が誰といたのか」


「毬絵さんとふたりで仲良く観劇だったんでしょう?朝から夜までべったりデートする男女に恋愛感情がなかったら、おかしいよ!!」


元希が数瞬黙り、それからなぜかほーっとため息をついた。
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