イジワル同期とルームシェア!?
居心地が良いから困るんです
①
その週の土曜日、元希が連れてきてくれたのは花火大会だった。
有名な川の名前付きのすんごい混むヤツね。
「文~!青海~!こっちこっち~!」
すでに人でごった返す駅前で待ち合わせたのは金村夫妻。涼子と努くんだ。
そう、「連れていく」なんていいながら、どうやら元希は涼子たちに「文を誘って行こう!」と言われていたらしい。
いいですけどね。
暑くても、人混みでも、こーいう場所は好きだから!
「涼子可愛いね~。努くんも似合う」
涼子も努くんも夏らしく浴衣姿だ。
きっと、涼子の強い意見が通ったんだろう。
ちなみに涼子は、派手な原色使いで薔薇が咲き乱れた浴衣。
うーん、似合いすぎてコワイ。
「金村、侍みたいだな。似合うよ、ホント」
元希がぷくくと笑いをこらえながら言う。努くんはいつも以上の仏頂面だ。それがいっそう浴衣に似合う。