イジワル同期とルームシェア!?
向かい合いしばしの沈黙。先に口を開いたのは元希だ。


「アヤの気持ちは、さっき全部聞こえてた。悪い、立ち聞きだな」


「ううん。それはいいんだ」


私はゆるく首を振った。
それから、真っ直ぐに元希を見つめた。


「私、この部屋を出て行くね」


なるべく冷静に響くよう、気を使った。
本当は胸の中で巨大な台風が暴れているようだった。

状況として同居は終わらせるべきだ。
だけど、私の心は何一つ決着がついていない。

元希が静かに私を見つめ返す。


「そっか」


てっきり引き止められるかと思っていた私は、きっと自意識過剰だ。
元希はあっさりと頷く。
いや、あっさりと頷けるまで、元希は考えたのだろう。

元希は私の態度を見て、こんな結末を予想していたのかもしれない。


「行くアテ、あるのか?」


「明日からマンスリーマンションを探すよ。週末には出て行けるようにする」
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