イジワル同期とルームシェア!?
「いえいえ、お構いもしませんで」


真面目な答えが返ってくる。
わずかな間を挟んで、元希が言った。


「もし、さ」


「え?」


私は顔を上げた。
そして、胸にナイフをつきたてられたような気持ちになった。
元希が寂しげに微笑んでいたからだ。


「もし次の男もハズレで、また捨てられたらさ、俺に言えよ。今度こそ、嫁にもらってやる」


なんだそりゃ。
なんていう悪い予言だろう。でも、そのとんでもない提案が悲しくて、おかしくて、私はわずかに笑う。


「縁起悪いこと言うなよー」


「はは、確かに景気良くない想像だよな」


互いの顔を見合わせ、笑い合う。
こんなことも、もう最後。
楽しかった同居生活はおしまいになるのだ。本当に、本当に。もうこの事実は動かないのだ。
< 226 / 323 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop