イジワル同期とルームシェア!?
この1ヶ月は短い夢だったと思おう。
楽しい夢だった。

ただ、もう夢から醒めてしまった。
千葉営業所に異動していった三谷さんの言葉が浮かぶ。彼女は不倫という悪い夢から自分で脱却した。
私は、元希との楽しかった夢を封印しなければならない。それが私にできる唯一誠実な作業だからだ。

毎日をやりすごしているような感覚は続いている。

食事の時はいつも虚しい。
誰が食べてくれるわけでもなければ、私の料理は自然と手抜きになり、コンビニやカップ麺で済ませることもしばしば。
いっそ、食べなくてもいいくらい。

帰ってきて、まだ馴れぬ自室に入る瞬間が嫌。
自分の居場所がどこにもなくなってしまったかのような錯覚に陥る。
慣れ親しんだ自分の布団すらよそよそしい。

元希がいない。
それは自由だけど、どうしようもなく不自然な日々だった。


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