イジワル同期とルームシェア!?
「文、ごめん。こんな感じになっちゃって」


涼子が困った顔で私を見つめる。
私はまったく気にしていないフリをしなければならない。


「なんでー、平気平気。青海とはもう、なんでもないし」


“青海”と以前のように呼んでみた。もう、ペナルティのブタさん貯金箱もない。

付き合って別れたわけじゃない。
お互いただの同僚に戻っただけ。

態度は以前どおりにしよう。



プールは普通に楽しかった。
久しぶりの水着が気になったのは最初だけで、水に浸かる浮遊感と清涼感はなかなかいい。

親子連れやカップルで混んでいるけれど、それも夏らしくて悪くない。

女子は水遊びをメインにし、男子は時間の半分を日焼けに使っている。

それでも私は目につくのだ。
たまに渡辺さんが元希に声をかける。

ジュース飲みませんか?とか、私も焼こうかななんて隣に座ってみたりとか。

気になる。
私が気にすることじゃないのに、ちょいちょい視界の端に入れてしまう。

どこか楽しめないまま、お盆休み唯一のイベントは終わってしまった。

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