イジワル同期とルームシェア!?
清く正しくあなたが好き




青海元希は最初から意地悪なヤツだった。

22歳、薗田エアサポートの新入社員研修で同じ班になった瞬間からだ。


『すっごい噛んでたけど、大丈夫かぁ?』


電話応対のトレーニングを終えて席に戻ると、そんな言葉がヤツから降ってきた。
確かに私は緊張からまるで舌が回らず、『薗田エアサポート』という自社名すら3回連続噛んだ。

だって、同期全員プラス総務の研修担当課長と外部講師の前でひとりでやるんだよ?
こっちは、みんなの前に立つこと自体、結構なミッションなんだから。


『次は青海くんの番なんで、せいぜい頑張って。お手本にするから』


『おう、最高の手本を見せてやる』


私の皮肉なんかまったく通じる余地もなく、前に進み出る元希。
ヤツの電話応対シミュレーションはパーフェクトだった。


その他、すべての研修項目で、青海元希は無敵を誇った。

新入社員同士のディベートも負けなし。
社外の研修講師とのディベートにも打ち勝ち、グループ企業間の新人交流でも、コミュニケーション能力は突出していた。
社内システムはあっという間に理解し、その日のうちに教えられるレベルまでマスターしていた。
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