イジワル同期とルームシェア!?
「皆様には長年に渡りアデレードホテルを支えていただき……」


元希のスピーチは途中から聞いたのではわからない。ただ、すでに元希がアデレードホテル側の人間であるかのような話し振りだ。

どういうことだろう。
ここまで追いかけてきてしまったけれど、もうすべてが手遅れなのだろうか。
そもそもこの状況の真実がわからない。

気持ちがしゅるしゅるとしぼみかける。
なんだか、とんでもない疎外感を感じる。追いかけてきた私ってなんなんだろう。

スピーチは終盤のようだ。
私は毬絵さんの横で、元希を見つめ続けた。

一瞬だった。
元希の視線が私に注がれる。

あれほど会わなかった視線が、濃密に絡んだ。
元希のスピーチがほんの数秒止まる。


「……失礼しました。お集まりの皆様の熱気に当てられてしまったようです」


すぐに元希は建て直し、賓客に笑顔を見せると言葉を続けた。
スピーチが終わり、会場を割れんばかりの拍手が満たす。

それを合図に、私は毬絵さんに頭を下げた。

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