イジワル同期とルームシェア!?
「毬絵さん、ありがとうございました。私、もう行きます」


「古町さん?待って、今、元希が来るはずだから」


毬絵さんの制止を振り切り、私は足早に会場を出る。
エレベーターホールまで来たけれど、なかなか来ないエレベーターに業を煮やし、階段を探す。

ああ、また逃げてしまった。
逃げないと決めたのに、元希の輝かしい姿を見たら、私の気持ちなんてものすごくちっぽけなものに思えてしまった。

どんなに好きでも、私は一度元希を拒絶したのだ。
今更、手を伸ばしちゃいけないんだ。元希はもう、私とは住む世界が違ってしまったんだから。


階段を駆け下り、行き交う人を避けながらエントランスを抜ける。

ターミナルビルではなく、外に通じる扉から出ると、タクシー乗り場には何組かが乗車の順番を待っていた。
タクシーは何台も続いているし、少し待てば乗れるだろうけれど、もう急ぐ道でもない。

普通にモノレールで帰ろうかな。
それなら、やっぱりビル内に戻らなきゃ。

モノレールの駅を目指し、空港ビルに向かって歩き出した。


「アヤッ!!」


背後から私を呼ぶ声が聞こえる。
切羽詰ったような低い声。
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