イジワル同期とルームシェア!?
ああ、やっぱり止められないんだ。
それなら、黙って元希を見送るしかないじゃない。
散々振り回したんだし、ここで元希の後ろ髪を引くようなことは言うべきじゃない。
見送ろう、黙って見送ろう。


「……行かないでよ」


心と裏腹に真逆の言葉がこぼれた。

自分でも信じられない。決意したそばから、私は元希を引き止めるのに躍起になっている。


「行かないでよ、元希。離れていかないでよ」


止まらない。
駄目だ、気持ちが抑えきれない。

元希の瞳がわずかに見開かれる。


「俺を引き止める理由……聞いていいか?」


理由?
そんなのたったひとつだよ。


「元希が好きだから……に決まってるじゃない」


伝えたかった本当の気持ちが溢れた。


「冗談だろ?」


焦ったような元希の手が、私の両手首を捕まえ戒める。そんなことをされたら、いっそう胸が痛い。
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