イジワル同期とルームシェア!?
「俺の父親は藍沢英隆。アデレードホテルの現社長です」


「え?えええええ??」


藍沢……そうだ。アデレードホテルの社長はそんな名前だった。
そして、元希がその息子ってことは?


「元希は……アデレードホテルの御曹司ってこと?」


「うん、まあそういうことです。今日のパーティーが後継者としてのお披露目だったりします」


元希が信じられない事実をさらりと告白する。

私は目の前の御曹司を指さし固まった。

デキル同期は、なんと親会社の後継者。
こんなことってあるだろうか。


「親父の言い付けでさ、30代まではグループ企業をまわって、物の流れや、航空業界の情勢を勉強してこいってことだったんだよな。だけど、親父が先月体調崩してさ。気が弱くなったのか、俺の後継者指名を早くしたいって話になったんだ」


「最初から移籍が決まっていたってそういうこと……?時期が来たら、アデレードに戻る予定だったんだね」


「ああ。みんなに言えないのは心苦しいけど、それも俺の役割なら仕方ないって思ってた。アヤが行かないでって行ってくれるのはすごく嬉しい。でも、これは俺のやりたい仕事のスタートラインだから、譲れない。ごめん」
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