イジワル同期とルームシェア!?
古町がまた困り顔でため息をつく。
やっぱりこの顔は結構ツボだ。

うーん、もう少しなんかないかな。
古町の表情に変化がつきそうなやつ。

色々試してみたい気持ちになって、俺は思いついたことを口にする。


「古町さんって名前、アヤでよかったよね。文学の文で」


「え?うん」


いきなり名前の話に飛んで、古町が驚いて顔を上げた。
俺は古町の顔を覗き込んで笑いかけた。


「ブンって呼んでいい?」


「やだ」


古町があからさまに嫌な顔で即答する。

あ、可愛い。
困った顔もいいけど、嫌な顔もなかなかクル。

ひそめられた眉も、上目遣いの茶色い瞳も、無意識に尖っているだろう唇も。


「ブンって響きが可愛いだろ?俺のことも元希って呼んでいいから」


さりげなく、距離を縮める算段をつける。
しかし、古町は予想外の返答。


「青海くんって『元希』って名前だったんだね。なんかイメージと違う」

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