イジワル同期とルームシェア!?
えー、ブンさん。
俺がいちごをもらったくらいでそんな顔してくれちゃうわけ?

……なんだよ、俺。
今日、ちょっとおかしいな。ゆうべ飲みすぎたわけでもないんだけど。


ブンはいちごのタッパーをしまいながら俺の礼に答える。


「お粗末様でした。と言っても、私が作ったいちごじゃないけど」


「ですよねー。いちご農家で育った感ゼロだもん」


「スーパーであとちょっとでジャム用にされそうな激安いちごを買ったの。お口に合ったようで光栄ですわ」


ニコニコ笑うブンは、とびきり美人ではない。
全体的に普通感漂う、どこにでもいそうな女子だ。

だけど、その表情の変化はちょっといい。
なんか気になる。
困った顔も、嫌な顔も、嬉しそうな顔も、もう少し見てみたい。

マイペースを装って、近付いて、彼女の心を乱したい。
そのうち、ブンは俺のことが気になってしょうがなくなったりして……。


春は新しいことが始まる季節。

俺の頭も一丁前に浮かれているらしい。

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