イジワル同期とルームシェア!?
元希がコントローラーを持つ手を止めた。ゆっくりとこちらを見る。

私は元希の左肩にもたれかかっているので、顔は見えないはずだ。


「立派な社長婦人になれるのかな。みんなそれほど期待してるわけじゃないのもわかる。でも、私が頑張らないと元希が恥ずかしい想いをする日がくるんじゃないかって」


「アヤ」


元希が優しく私を呼ぶ。
おそるおそる元希の方に顔を向けると、抱き締められた。

元希の腕の中はあたたかい。もう何度も抱き合っているけれど、この温度を感じるたび、途方もなく安心する。


「俺はそのままのアヤでいい。ホントは勉強なんかしなくたっていい。アヤが俺の隣にいてくれるだけで、俺は経営者として歩いていける」


「勉強はしておきたいの。元希の役にたちたいし。でも、私よりもっと相応しい女性がいるんじゃないかって……時々思う。有名企業の令嬢とか……」


「それ以上言うと、唇噛み切るぞ」


そう言って、元希が口付けてきた。
強引なキスに私は唇を薄く開ける。それじゃ足りないと言わんばかりに、元希の唇が深くあわせられる。滑り込んできた舌が、歯列をなぞり、背筋が震えた。
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